第8章 被告人の召喚、勾引及び勾留/刑事訴訟法


(昭和二十三年七月十日法律第131号)

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最終改正:平成一五年五月三〇日法律第61号

(最終改正までの未施行法令)
平成十五年五月三十日法律第61号(未施行)
 

   第8章 被告人の召喚、勾引及び勾留

第57条  裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、被告人を召喚することができる。

第58条  裁判所は、次の場合には、被告人を勾引することができる。
 被告人が定まつた住居を有しないとき。
 被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。

第59条  勾引した被告人は、裁判所に引致した時から二十四時間以内にこれを釈放しなければならない。但し、その時間内に勾留状が発せられたときは、この限りでない。

第60条  裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
 被告人が定まつた住居を有しないとき。
 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
○2  勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第89条第1号、第3号、第4号又は第6号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
○3  三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第60号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第4号)の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第1項の規定を適用する。

第61条  被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。

第62条  被告人の召喚、勾引又は勾留は、召喚状、勾引状又は勾留状を発してこれをしなければならない。

第63条  召喚状には、被告人の氏名及び住居、罪名、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは勾引状を発することがある旨その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。

第64条  勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき監獄、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。
○2  被告人の氏名が明らかでないときは、人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示することができる。
○3  被告人の住居が明らかでないときは、これを記載することを要しない。

第65条  召喚状は、これを送達する。
○2  被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。
○3  裁判所に近接する監獄にいる被告人に対しては、監獄官吏に通知してこれを召喚することができる。この場合には、被告人が監獄官吏から通知を受けた時に召喚状の送達があつたものとみなす。

第66条  裁判所は、被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に被告人の勾引を嘱託することができる。
○2  受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。
○3  受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。
○4  嘱託又は移送を受けた裁判官は、勾引状を発しなければならない。
○5  第64条の規定は、前項の勾引状についてこれを準用する。この場合においては、勾引状に嘱託によつてこれを発する旨を記載しなければならない。

第67条  前条の場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から二十四時間以内にその人違でないかどうかを取り調べなければならない。
○2  被告人が人違でないときは、速やかに且つ直接これを指定された裁判所に送致しなければならない。この場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。
○3  前項の場合には、第59条の期間は、被告人が指定された裁判所に到着した時からこれを起算する。

第68条  裁判所は、必要があるときは、指定の場所に被告人の出頭又は同行を命ずることができる。被告人が正当な理由がなくこれに応じないときは、その場所に勾引することができる。この場合には、第59条の期間は、被告人をその場所に引致した時からこれを起算する。

第69条  裁判長は、急速を要する場合には、第57条乃至第62条、第65条、第66条及び前条に規定する処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。

第70条  勾引状又は勾留状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。但し、急速を要する場合には、裁判長、受命裁判官又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、その執行を指揮することができる。
○2  監獄にいる被告人に対して発せられた勾留状は、検察官の指揮によつて、監獄官吏がこれを執行する。

第71条  検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しくは司法警察職員にその執行を求めることができる。

第72条  被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託することができる。
○2  嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査及び勾引状又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。

第73条  勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。第66条第4項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。
○2  勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された監獄に引致しなければならない。
○3  勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前2項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

第74条  勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において必要があるときは、仮に最寄の監獄にこれを留置することができる。

第75条  勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において必要があるときは、これを監獄に留置することができる。

第76条  被告人を勾引したときは、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
○2  前項の告知は、合議体の構成員又は裁判所書記にこれをさせることができる。
○3  第66条第4項の規定により勾引状を発した場合には、第1項の告知は、その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。但し、裁判所書記にその告知をさせることができる。

第77条  逮捕又は勾引に引き続き勾留する場合を除いて被告人を勾留するには、被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。
○2  第61条但書の場合には、被告人を勾留した後直ちに、前項に規定する事項の外、公訴事実の要旨を告げなければならない。但し、被告人に弁護人があるときは、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
○3  前条第2項の規定は、前2項の告知についてこれを準用する。

第78条  勾引又は勾留された被告人は、裁判所又は監獄の長若しくはその代理者に弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる。ただし、被告人に弁護人があるときは、この限りでない。
○2  前項の申出を受けた裁判所又は監獄の長若しくはその代理者は、直ちに被告人の指定した弁護士、弁護士法人又は弁護士会にその旨を通知しなければならない。被告人が二人以上の弁護士又は二以上の弁護士法人若しくは弁護士会を指定して前項の申出をしたときは、そのうちの一人の弁護士又は一の弁護士法人若しくは弁護士会にこれを通知すれば足りる。

第79条  被告人を勾留したときは、直ちに弁護人にその旨を通知しなければならない。被告人に弁護人がないときは、被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人にその旨を通知しなければならない。

第80条  勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により監獄に留置されている被告人も、同様である。

第81条  裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。

第82条  勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
○2  勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。
○3  前2項の請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。

第83条  勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。
○2  法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。
○3  被告人及びその弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない。但し、被告人の出頭については、被告人が病気その他やむを得ない事由によつて出頭することができず且つ被告人に異議がないとき、弁護人の出頭については、被告人に異議がないときは、この限りでない。

第84条  法廷においては、裁判長は、勾留の理由を告げなければならない。
○2  検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。但し、裁判長は、相当と認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を差し出すべきことを命ずることができる。

第85条  勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。

第86条  同一の勾留について第82条の請求が二以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。その他の請求は、勾留の理由の開示が終つた後、決定でこれを却下しなければならない。

第87条  勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
○2  第82条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第88条  勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。
○2  第82条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第89条  保釈の請求があつたときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない。
 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人の氏名又は住居が判らないとき。

第90条  裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

第91条  勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第88条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
○2  第82条第3項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

第92条  裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
○2  検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項と同様である。但し、急速を要する場合は、この限りでない。

第93条  保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。
○2  保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
○3  保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。

第94条  保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。
○2  裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。
○3  裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。

第95条  裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。

第96条  裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
○2  保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
○3  保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

第97条  上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。
○2  上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。
○3  前2項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。

第98条  保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があつたとき、又は勾留の執行停止の期間が満了したときは、検察事務官、司法警察職員又は監獄官吏は、検察官の指揮により、勾留状の謄本及び保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを収監しなければならない。
○2  前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを収監することができる。但し、その書面は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。
○3  第71条の規定は、前2項の規定による収監についてこれを準用する。

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